住宅ローンの金利タイプは「固定」「変動」「固定期間選択」どう選ぶのがベスト?
各銀行の住宅ローン3月分適用金利を見ていると、特に「3年固定」「5年固定」が銀行によっては変動金利を下回るといったすごい状況になっています。
その他の金利タイプはどうかというと、下がっている銀行が多いですね。変動金利を除いては…
プランによって変動金利も下げている銀行もあるのですが、ほとんどが据え置きになっています。そもそも、変動金利と固定金利は指標が違うので当然といえば当然なんですが…
このあたりも含めて、住宅ローン金利についてをおさらいしておきましょう。
それぞれの金利タイプの解説
「固定期間選択型」「全期間固定型」「変動金利型」
では、それぞれの金利タイプについて説明していきます。
固定期間選択型
住宅金融支援機構が行なった「民間住宅ローン借換の実態調査」によると、30代~40代の方が借り換えをした際に一番選択された金利タイプがこの固定期間選択型です。
「3年固定」「5年固定」「10年固定」など複数の中から選択するわけですが、この固定期間選択型は「固定」とついていますが、実際は変動金利をベースとして一定期間の金利を固定するといった特約つけた商品なんです。
この固定期間終了後は変動金利を選択するか、期間終了時点の金利水準で固定期間を選択するかを選ぶことができるものがほとんどです。
全期間固定型
これは「全期間固定」という文字どおり、最初から最後まで金利・返済額が変わることがない金利プランです。
返済額が一定ということで、ライフプランが非常に立てやすくなります。
ただ、欠点としては、変動金利や固定期間選択型に比べると金利は高くなります。それに、同じ銀行で金利タイプの変更ができないので、変更したいのであれば、必然的に他の銀行へ借り換えをしないといけません。
変動金利型
どのタイミングで変動するかというのは銀行によって異なります。ほとんどの銀行は「毎月見直し」か「半年ごとの見直し」のどちらかになっています。
代表的な銀行はどうなっているかを挙げておきます
【毎月見直し】
三井住友銀行
りそな銀行
住信SBIネット銀行
イオン銀行
など
などになっています。
「金利の見直し毎に返済額も変わる」と勘違いされてる方が結構いらっしゃいますが、返済額の見直しは5年ごとになっています。
では、金利の見直しがあったときに何が変わるのかというと、毎月の返済額に含まれる元金と利息の割合が変わるだけです。ただ、5年が経った場合は返済額が変わりますので、その点は注意してください。
それともうひとつ。
5年経って返済額を見直しするタイミングで当初借り入れした時点より、金利がかなり上昇していたらどうなるか?
これは、125%ルールというものがあって、仮にどんなに金利が上昇しても、それまでの返済額の1.25倍までというルールが一般的にあるんです。
その場合、金利は上昇しているのに返済額は1.25倍に抑えられているということは、利息が返済額を上回ってしまう可能性もでてきます。この支払えなかった利息は「未払利息」として、最終返済日に一括払いするといった形になります。
この点にもご注意ください。
どの金利タイプを選ぶのがベストか
はっきり言いますと、新規で借りる場合と借り換えでも異なります。
現段階では、空前の低金利状態になっていますので、新規で借りるのであれば間違いなく全期間固定型をおすすめします。
借り換えであれば、ライフプランによって固定期間選択型または全期間固定型を選ぶのがベストな選択ではないかと思われます。
また、残りの返済期間が少ないのであれば、変動金利型を選択するという手もあります。
ライフプランというキーワードが出たので、少し具体的な例を挙げて説明してみます。
もし、これから中学校へ上がるようなお子さんがいらっしゃる場合であれば、10年固定を選択するのもいいかもしれません。
銀行にもよりますが、10年固定の金利が異常に低いところもあるので、そういったところの商品を選択することで、10年間は毎月の返済額を抑えることができます。
なぜ、10年固定を勧めたかというと、中学校へ上がるようなお子さんがいらっしゃるということは、学費以外にも塾の費用や部活などといった教育費がかかってくるわけですよね。
中学校3年、高校3年、大学に進学すればさらに4年と費用がかかる時期が続きます。この期間を合計するとちょうど10年。住宅ローンの固定期間と同じになります。
この、お金がかかる時期に住宅ローンの返済額が低いと非常に助かります。
これが仮に5年固定だった場合、ちょうど大学受験のあたりに返済額が上がってしまうことになるわけです。一番費用がかかるタイミングで返済額が上がるのは家計にとっても厳しい話です。
「じゃあ、全期間固定型にすればいいんじゃ?」
返済額も一定なので、住宅ローンの返済のことを気にしなくていいのですが、今の金利水準からいうと、銀行によっては10年固定と全期間固定の金利が倍近く違います。
ということは、毎月の返済額はかなり違ってきますよね。返済額は一定になりますが、教育費を捻出するという観点から考えると厳しい選択かもしれません。
「10年固定を選択しても、11年目には金利が上がって返済額が…」
確かに返済額は高くなるでしょう。ただ、そのときにはお子さんは大学を卒業していますので、教育費の負担はなくなっています。
つまり、その分を住宅ローンの返済額へ回すことが可能とも考えられるわけです。
このように「どの金利タイプが返済額が低いのか」を見るのではなく、ライフプランを鑑みたうえで「一番ストレスがかからないのはどの金利タイプか」という視点で選ぶのがベストです。
まとめ
各金利タイプと選び方について説明してみました。
住宅ローンを新規で借りるにしても、借り換えをするにしても、「毎月の返済額」という目先の部分を重要視しがちになってしまいます。
もちろん、それが悪いことだとは思いません。
ただ、返済期間が30年や35年、借り換えでも15年や20年あるわけですから、できるだけ5年後や10年後の予定をプラスして金利タイプを選択するといいのではないのかなと思います。